公立大学法人 奈良県立医科大学附属図書館(奈医図=ないと)のブログです。

ないとクイズQ13~Q18(5月18日~5月24日出題)解答

少し遅くなりました。

Q13:臨床医学は「492」から始まるが、全般的な診断学は?
A13:「492.1」
Q14:NDCで心臓・脈管系の診断・検査法のうち心電図は「492.???」
A14:「492.123」
Q15:「腹部エコー」はNDCの何に分類?
A15:「492.14」
Q16:対症療法のうち、「輸液療法」のNDCは「492.??」
A16:「492.26」
Q17:救急医学のNDCは?
A17:「492.29」
Q18:放射線医学は画像診断やIVRも含めて「492.4」であるが、「胸部CT」だとNDCは「492.4??」
A18:「492.433」

 

解説
臨床医学日本十進分類法(NDC)は492から497まで幅広く取られています。
全般的な診断・治療には「492」が使われます。疾患ごとには「493」以降に割り当てられます。
大人気の「病気がみえる」シリーズは「492」に分類しております。


診断学は「492.1」に分類されます。内科診断学はここに分類されます。
その下位に各診断・検査法が続きます。
 ・492.11 = 一般検査法・臨床検査法・画像診断法・身体診察など
 ・492.12 = 心臓・脈管系の診断・検査法
  > 492.123 = 心電図
 ・492.13 = 胸部の診断・検査法
 ・492.14 = 腹部の診断・検査法 → 腹部エコー
 ・492.16 = 脳・脊髄・神経の診断・検査法


次に「492.2」は対症療法や処置になります。
 ・492.21 = 注射法
 ・492.22 = 穿刺法
 ・492.26 = 輸血・輸液
 ・492.29 = 救急処置・救急医学


「492.3」は化学療法・薬物療法


「492.4」は放射線医学ですが、どんどん新しい技術が開発され、IVRもここに分類しております。
 ・492.43 = 放射線を利用した診断法や読影法。各部位については下位に設定。
  > 492.433 = 胸部
  >  492.434 = 腹部
  >  492.437 = 頭部


実は、看護学のNDCは「492.9」なんですが、看護系の分類を細分化するために、奈良医大では独自の「N分類」を設定しております。

医中誌Web検索のポイント

前回はリモートでの医中誌検索方法をご紹介しました。今回は医中誌検索のコツです。

★★★医中誌Web検索のポイント★★★

・キーワードを短い単語に区切る
検索結果が少ない人は、だいたいキーワードが長いです。例えば、"術後患者"だと9,804件ですが、"術後 患者"では100,483件になります(5.21時点)。これは、"術後患者"では、"術後"と"患者"の間に言葉が入っているもの("術後の患者"や"術後がん患者"など)は検索から除かれているためです。単語が長いと、本当は読みたい文献まで意図せず除かれることがあります。まずは検索語を短く区切ってみてください。

・一般的な言葉をキーワードに入れない
感染症の予防戦略、心身への影響、臨床的有効性評価、こういったことを調べるときに入れがちなのが戦略、影響、評価といった一般的な言葉です。一般的な言葉は文献によっていろいろな表現をされているため、検索キーワードに入れると限定的になってしまいます。なるべく医学用語のみで検索してみてください。

・検索キーワードを減らす
スペースで区切ってキーワードを入れると、"いずれのキーワードも含む"という検索になるため、キーワードが多いほど検索結果は少なくなります。一度に入力する言葉は多くて3語程度がいいです。

・論文種類が会議録かを確認する
論文の中を見たら、本文が1ページにも満たず短かったということはありませんか?医中誌データの中には学会等で配布される抄録集掲載の"会議録"があります。会議録は医中誌内データの半分以上を占めています。読みたいと思った論文は本文を見る前にまず論文タイトルの末尾を確認してください。会議録には(会議録)がついています。

・いいなと思った文献を"詳細表示"してみる
自分の研究テーマに合った論文情報を見つけたら、タイトルをクリック、または表示内容の変更で"詳細表示"を選び内容を確認してください。シソーラス用語があれば要チェックです!論文の内容を表すキーワードが並んでいます。特に*(アスタリスク)がついているものはその中で重要という意味です。そのシソーラスを検索キーワードに使うと、同じような論文を検索することができます。

(まめ知識)シソーラスと自動マッピング
シソーラスは同義語をまとめた統制用語集です。例えば"縟瘡"なら、"褥創"や"床ずれ"といった表現がされている論文もあります。医中誌ではそれらに"褥創性潰瘍"という共通のシソーラスを付与しています。検索の際は"縟瘡性潰瘍"というシソーラスを使えば同様の論文がいっぺんに検索できます。さらに、医中誌では自分が"縟瘡"というキーワードで検索すると自動的に"縟瘡性潰瘍"というシソーラスを付与してくれる自動マッピングという便利な機能があります。自分で入れたキーワードには"/AL"、シソーラスには"/TH"がついています。

★★★★★★

いかがでしたか?ちょっとの工夫で検索結果が格段に変わりますよ!ぜひお試しください。

リモートでの医中誌Webの使い方

自宅からリモートで文献検索されている方必見!
医中誌Webの使い方~リモートバージョン~です。

 ★★★医中誌Webの使い方(リモート版)★★★

1.医中誌WebのリモートアクセスURLにアクセスする。(学内限定HPまたは教務システムお知らせ参照)

2.「こちらは医中誌Web(法人版)のログイン画面です。」より「ログイン」を押し、リモートアクセスID/PWを入力する。(学内限定HPまたは教務システムお知らせ参照)

3.医中誌の検索画面に入る。検索キーワードを入れて検索する。

4.論文情報の一覧が出てくる。スクロールし、読みたい論文があるか確認する。

【アイコンが表示されるもの】
論文情報の下にアイコンが表示されているものは、一部を除き本文まで見られます。主なアイコンと本文の見方を紹介します。

・メディカルオンラインPDFダウンロード

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アイコンをクリックし、メディカルオンラインのリモートアクセスID/PWを入力する。(ID/PWは学内限定HPまたは教務システムお知らせ参照) 

MF(医書.jp)

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(1)別画面で医書.jpオールアクセスのリモートアクセス用URLにアクセスし、ID/PWでログインする。(学内限定HPまたは教務システムお知らせ参照)
(2)医中誌で見つけた論文のタイトルで医書.jp内を検索する。
(3)該当論文のPDFをクリックする。

※医中誌からアイコンをクリックして医書.jpへの直接ログインはできません。

・最新看護索引Web PDF

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(1)アイコンをクリックし、ログイン選択画面を表示させる。
(2)機関版を選択する。
(3)最新看護索引WebのリモートアクセスID/PWを入力する。
(4)論文情報の左下「最新看護索引web本文をみる」というピンク色のアイコンをクリックする。

・機関リポジトリフルテキスト

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 各機関のページで本文が見られます。

【アイコンが表示されないもの】
論文情報の下にアイコンが出ないものは電子版へのリンクがありません。そのような場合には電子版でなく冊子版を探します。
本来なら、図書館でコピーするか、他機関から論文コピーの取り寄せができますが、来館できない状況ですので、本学学生に対し、利用制限期間中に限り論文コピーを無償で送付します。申込方法は教務システムのお知らせをご確認ください。教職員の方は通常どおり図書館に来館しご利用いただけます。

★★★★★★
リモートでの検索はログインや閲覧の方法が学内環境と異なる部分もありますが、
本文まで見られるものも多いのであきらめないで!

次回のブログでは医中誌検索のコツをお伝えします~

ないとクイズQ10~Q12(4月28日~5月4日出題)解答

遅くなりましたが、解答いたします。

Q10:MeSH用語「Pneumonia」(肺炎)の1つ上の上位語は何と何?
A10:「Respiratory Tract Infections(呼吸器感染症)」および「Lung Diseases(肺疾患)」

Q11:MeSH用語「Gout」(痛風)の1つ下の下位語は何?
A11:「Arthritis, Gouty(痛風性関節炎)」

Q12:MeSH用語「Hypertension」(高血圧)の1つ上の上位語は何?
A12:「Vascular Diseases(血管疾患)」

MeSH第2弾は、MeSH用語の構成について説明します。
MeSHは日本十進分類法(NDC)のようにいくつかのカテゴリーに分けられて、階層構造になっています。NDCでは、数字の0から9までが使われていて、桁数が増えるほど、細かい階層に分かれていますが、MeSHではアルファベット(A~Z)が使われています。例えば、Aは解剖学、Cは疾患、Dは化学物質・薬剤などのカテゴリーに分けられていて、そのあとに数字2~3桁が続きます。次に、あるMeSH用語「Pneumonia(肺炎)」を基準として、それより広い(上位)概念の用語「Respiratory Tract Infections(呼吸器感染症)」および「Lung Diseases(肺疾患)」を上位語と呼び、それよりも特定した(下位)概念の用語「Pneumonia, Aspiration(誤嚥性肺炎)」や「Pneumonia, Bacterial(細菌性肺炎)」などを下位語と呼びます。
階層構造で表すと以下のようになります。カッコ内は階層コード。

Respiratory Tract Infections(C01.748)
    Pneumonia(C01.748.610)
        Pneumonia, Aspiration(C01.748.610.529)
        Pneumonia, Bacterial(C01.748.610.540)

Lung Diseases(C08.381)
    Pneumonia(C08.381.677)
        Pneumonia, Aspiration(C08.381.677.529)
        Pneumonia, Bacterial(C08.381.677.540)

上記のように「Pneumonia(肺炎)」は2種類の上位語が設定されています。
下位語は疾患によって、種類が様々で、概念が広いほど下位語の種類が増えることになります。
ただし、病態や病因が明確になっていない難病などは、研究が進むにつれて疾患概念が変わるとMeSHの構成が変わることもあります。MeSHは毎年改訂されますので、そのような変化に注意する必要があります。
これらのMeSH用語の階層構造は、「MeSH Database」で確認できます。

ないとクイズQ5~Q9(4月20日~24日出題)解答

解答いくにゃ!

Q5:日本十進分類法(NDC)において、「491.1」は何学?

A5:「解剖学」

Q6:「生理学」はNDCで「49?.?」

A6:「491.3」

Q7:NDCで「491.5」は何学?

A7:「薬理学」

Q8:「病理学」はNDCで「49?.?」

A8:「491.6」

Q9:「ウイルス学」はNDCで「49?.??」

A9:「491.77」

解説

日本十進分類法(Nippon Decimal Classification:NDC)は世の中の知識全体を大きく10種類に分けて、さらに体系化および細分化された分類法で、全国の大半の図書館で採用されているものです。当館も新設当時から使用してきました。ただし、看護関連書の分類には、看護学科カリキュラムに合わせて、独自に「N分類」を策定しています。

当館では、受け入れた図書をNDCで分類し、それに著者記号(著者の姓のアルファベット最初の3文字)を組み合わせて「請求記号」と呼び、その順番に書架に並べています。たとえば「グレイ解剖学」の請求記号は「491.1-Gra」となります。

さて、NDCの「4類」は「自然科学」を表し、「490」が「医学」となります。したがって、当館の蔵書の大半が「490」台になっています。そのうち、「基礎医学」には以下のように「491」が割り当てられています。

  • 491.1:解剖学 > 491.11:組織学
  • 491.2:発生学
  • 491.3:生理学
  • 491.4:生化学
  • 491.5:薬理学
  • 491.6:病理学
  • 491.7:細菌学 > 491.77:ウイルス
  • 491.8:免疫学
  • 491.9:寄生虫

一方、「疫学・予防医学」、「公衆衛生学」及び「法医学」はいっきに飛んで「498」になります。

  • 498:衛生学・公衆衛生・予防医学
  • > 498.6:疫学・防疫
  • > 498.9:法医学

当館あるいは最寄りの公共図書館で本を探すときの参考にしてくださいね!

 

 

ないとクイズQ1~Q4(4月15日~18日出題)解答

みなさん、お待たせしました!

Q1:「コロナウイルス感染」のMeSH用語は?
A1:「Coronavirus Infections」
Q2:抗ウイルス薬「アビガン」の一般名は?
A2:「ファビピラビル(favipiravir)」
Q3:「ARDS(急性呼吸窮迫症候群)」のMeSH用語は?
A3:「Respiratory Distress Syndrome, Adult」
Q4:「CT」のMeSH用語は?
A4:「Tomography, X-Ray Computed」

解説

PubMedのMeSH用語を探すには「MeSH Database」というツールを使うと簡単に調べられます。
A1:「コロナウイルス感染」は自然語として「coronavirus infection」を入力すると「Coronavirus Infections」が1番目に表示されます。
A2:「アビガン」のスペルは「avigan」なので、これを入力すると、「favipiravir [Supplementary Concept]」が表示されます。[Supplementary Concept]という項目は「補足概念用語」を表します。新しい薬剤、化合物やレアな疾患などが登録されていますが、新型コロナウイルス感染症も異例の早さ(2020年2月13日付)で、「COVID-19」の表記で登録されました。[MeSH]の前段階の項目になっているようです。
A3:「ARDS」を入力すると、「Respiratory Distress Syndrome, Adult」が表示されます。ご覧のように倒置形になっていて、「ARDS」の「A」が「Acute」でなく、「Adult」になっています。新生児に対しては「Respiratory Distress Syndrome, Newborn」の表記になっています。
A4:単に「CT」と入力すると、100件以上ヒットして、1番目にはPET-CTが表示されますが、通常はX線によるCTですから、「Tomography, X-Ray Computed」が該当します。

 

A2の補足ですが、「アビガン(avigan)」は薬剤の商品名ですが、学術論文では薬剤は一般名で表記されることがほとんどです。他の抗インフルエンザ薬では「ゾフルーザ(xofluza)」の一般名は「バロキサビル・マルボキシル(baloxavir marboxil)」、「タミフル(tamiflu)」の一般名は「オセルタミビル(oseltamivir)」のような感じです。


では、また!

「MeSH用語」と「御座候」?!

ここではMeSH用語の説明をしたいと思います。

「MeSH」とは「Medical Subject Headings」の頭文字をとったもので、米国立医学図書館(NLM)が提供している医学文献データベース「PubMed(MEDLINE)」で使用されているシソーラス(統制語辞書)を指します。

みなさん、Googleなどで何かについて調べたいときに、頭にパッと思いついた言葉(キーワード)を入力しますよね?ないとちゃんも大好きな「御座候」についてもれなく調べたいとき、「今川焼き」「大判焼き」「回転焼き」などなど地域によって呼び方が違いますよね!
もれなく検索するには、これらの言葉をすべて入力しないといけません。このようなキーワードを自然語、自由語やフリータームなどと呼びます。

ところで、SNSからお菓子屋の紹介投稿を集めて、自分でお菓子屋データベースを作るとしたときに、ひとつのお菓子屋データにどんな項目を設定するでしょうか?店名、属性(和菓子店、百貨店など)、場所、商品など。。そこに「菓子シソーラス」という項目も含めておきます。
「A和菓子店」が「回転焼き」を[商品]として扱っている場合、[菓子シソーラス]に「御座候」を書き込みます。次に「B百貨店」が「大判焼き」を[商品]として扱っている場合も[菓子シソーラス]に「御座候」を書き込みます。同様に「C菓子店」では「今川焼き」、「D駅構内」では「御座候」を扱っている場合、それぞれの[菓子シソーラス]の項目にも「御座候」を書き込みます。

こうすると、このお菓子屋データベースを使って[菓子シソーラス]項目を「御座候」で検索すると上記の4店のお菓子屋がヒットしますよね!


このようにあらかじめ[商品]として「今川焼き」「大判焼き」「回転焼き」「御座候」を扱っている場合に[菓子シソーラス]項目には「御座候」を使うように決めておくわけです。
この場合の「御座候」が「統制語」、統制語を集めた「菓子シソーラス」が「シソーラス」となります。シソーラスは、あるデータベースからもれなく同一概念のデータを抽出するために必要な辞書です。

「MeSH」はPubMed(MEDLINE)で使われているシソーラスで、「MeSH」に採用されている統制語が「MeSH用語」となります。たとえば、「癌(腫瘍)」を英語では「cancer」「tumor」「neoplasm」などと言いますが、MeSH用語は「Neoplasms」という表記が採用されています。つまり、PubMedの[MeSH]項目を「Neoplasms」で検索すると「癌(腫瘍)」に関するほとんどすべての文献データを抽出できます。
PubMedのMeSH用語を探すには、PubMedのトップパージにリンクされている「MeSH Database」というツールを使うと簡単に調べられます。

さぁ、このツールを使って、”ないとクイズ”をクリアしてくださいね!
どうもお疲れ様でした!